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視聴味覚演芸制作者会議軍団「囲碁お見知りおきを」団員、中原由貴のお話。
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変なスーパースターのおじさん(後編)
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     私はお腹が空いていた。場内飲食自由という情報を押さえていたので,会場でお弁当を買って入るつもりであった。しかし途中都営新宿線への乗換が難し過ぎて新宿駅を長時間かけずり回ってしまい,会場に着いたのは開演5分前,お弁当コーナーへ猛ダッシュして,お弁当,お弁当とブツブツ言っていると,

    「お弁当はもう全部売り切れました」

     売店のフロアを取り仕切っているマネージャーっぽい男性が,笑顔ではあるが一分の隙もなく交渉も受け付けない強い意志が感じられる冷たい声で言い放った。そんな!そんなあ!!!何かしらお菓子でも…とフロアをさらにかけずり回っていると,とある売店のお兄ちゃんがサラミの試食をくれた。それを袋から出して食べながらさらに走り回ること数分,場内がガヤガヤ言い出した。声も聞こえる。もしかして始まっていたらどうしよう!!!どうすればいいんだー!!!と,映画プラトーンのジャケットのような状態になっていると,「おいなりさんの詰め合わせならあるよ!」とおばちゃんが教えてくれた。目に涙を溜めておいなりさんとお茶を買い,しこたまお礼を言って場内へ駆け込む。なんと緞帳の前でダチョウ倶楽部の3人が紋付き袴を着てしゃべっているじゃないか!うおおおおバカ殿へのカウントダウンが始まっている!大急ぎで席へ向かった。

     そこから先のことは,胸がいっぱいで説明が困難である。会場を埋め尽くすのはご老人ばかりかと思いきや,若い女性グループから小学生の子連れのご家族までさまざまであった。子供たちが我を失うほどひっくり返って大笑いしている様には,胸を打たれた。コント→三味線→松竹の舞台,と大団円へ向かいつつさまざまな出し物がこれでもかと続く中,歴史に名を残すスーパースターは,「8時だヨ!全員集合」の頃と同じ,我々のすぐ側でふいにスカートめくりをするような,あのお茶の間の志村けんであった。第2部最後の舞台「一姫二太郎三かぼちゃ」の三郎を演じる志村けんは,完全に「三郎」であって私の知っている志村けんではなかったが,それでも我ら庶民のそばからは離れないでいてくれた。
     最後のお話が終わり,舞台の巨大スクリーンに「志村魂 終」と出て割れんばかりの拍手が鳴り止まぬ中,「おまけ」という文字が出て,コントが始まった。事故にあって入院したダチョウ倶楽部のリーダーに会いに来た奥さん役の南野陽子が彼に駆け寄ろうとしたその時,途中の扉からバン!と出て来て彼女の行く手を阻んだのはなんと,変なおじさん,であった。
     変なおじさん,だかーら,変なおじさん,という踊りに合わせて手拍子をしながら,ゲラゲラ笑いおいおい泣いた。

     終わって丸2日経ってもいまだ興奮は続く。舞台の転換時にスクリーンで流れる映像や,サービス精神に溢れかえった出し物の一つ一つに,きっと志村けんが愛してやまないと思われる過去の笑いの巨人達の片鱗がちょっとずつ隠されていた。あの志村けんが誰かに死ぬほど憧れて感染したのかと思うと,それを考えただけでどばどば涙が出る。
     ありがとう,志村けん。同じ時代に生まれた喜びを私はかみしめて明治座を後にした。

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     というのが,志村魂を見終わって2日目に書いた感想の後編である。今読み返しても感動が昨日のことのように蘇り,目頭が熱くなる。そんなわけで,私はいかりや長介が志村けんに託したものを次は私が勝手に受け取って,がんばっていこうと思う。
    | - | 06:58 | comments(0) | trackbacks(0) | - |









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